道を切り拓く面白さ

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 Image by Robin Higgins from Pixabay

12月の『あの発表』の後にThe Economistにて次の様な記事が出ました。

興奮した報道にもかかわらず、NIFの発表は民間の核融合炉につながるものではない

 核融合は、人々の心理に奇妙なボタンを押しつける。
 重水素は水の分子のごく一部に自然に存在するため、燃料の供給は無限であると考えられているが、放射性物質で半減期が12年のトリチウムを合成しなければならないという事実は都合よく無視されているのである。
 また、CO2を排出しないことは、核分裂、太陽エネルギー、風力発電など、実際に開発された技術にも言えることである。          
          (中略)
 しかし、この場合、さらに奇妙なことが起こる。 
          (中略) 
 「核融合発電は30年先の話であり、これからもずっとそうだろう」という古いジョークを何十年も言い続けてきたのに、今では民間企業で現実のアイデアと現実の資金を持った企業がそれを追求しているのである。
 これらのプロジェクトのうち、レーザーによる慣性閉じ込めという難しい技術に関わるものはほとんどない。

 2009年にオープンしたnifよりも最新のレーザーでさえ、ビームを生成するために装置を「ポンピング」するプロセスに内在する非効率性を克服できていないのだ。
プロジェクトでは、1950年代に確立されたトカマクをベースにしている。
 これは、重水素と三重水素の混合物を凍らせてペレットにするのではなく、加熱してプラズマにし、磁気で圧縮する方法だ。
 特に磁石の技術が飛躍的に進歩したことが、このルネッサンスを可能にした。
 民間企業では、核種の異なる燃料サイクルや、レーザービームを当てるのではなく燃料の多いターゲットに発射する慣性閉じ込め方式など、まだまだ斬新なアイディアがあるようだ。
 これらのことを考えると、商業的な核融合発電の未来があるとすれば、それはレーザーによる慣性閉じ込めであるということは考えにくい。
 今度から、見出しを書く人は、このことをよく覚えておいて欲しい

The Economist Dec 13th

さあ!面白くなって来ました!

そこで今回も身近な研究員のお二人から感想レベルのものを頂きました。

M博士の所感

NIFは、米国エネルギー省が管理する大型の核融合実験施設で、核融合を試みるために、高エネルギー密度を持つプラズマを作り出すことを目的としています。
 核融合は、放射性元素を分解してエネルギーを生み出す方法で、地球上で最もエネルギーを生み出す方法の1つである。
 燃料としては水素が使われ、放射性廃棄物を生み出さないため、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー源としても期待されています。
 NIFの研究者たちは、ペレットを通して自立的に燃焼する現象を実現し、エネルギーを放出することに成功しました。
 そのため、核融合を実現することで、地球温暖化やエネルギー問題を解決する可能性があると期待されていますが、核融合は非常に困難な技術であり、ビームを生成するために使われるエネルギーを上回る場合にのみ、電源となり得る。
 現状は残念ながら、ビームを発生させるのに膨大な非効率性がある。
 との記事の中で、やはり、核融合があれば世界のエネルギー問題を解決する上で重要なキーテクノロジーだと思います。
 ただ、ビームを使って核融合させる方法は、実践向きではないのかなと思う所、別のアプローチが必要であることがうかがえました。
 また、本当に実用に向かっているのか、まだ研究段階なのかわからない点で、肯定すべきところは肯定する一方で、批判的に見る視点を養うことも重要であると思います。
 即ち、公平的な視野でみることの重要性を感じました。
 一喜一憂してはいけないですが、技術の進歩は確実に進んでいると今後の動向に期待しています。

T君の所感

核を使用したエネルギーには核分裂と核融合とがあります。
 これまでの原子力は核分裂を使用したものであり、今回のものは核融合になり、同じ核でもメカニズムが異なるものとなります。
(核分裂はウランなどの重い原子で発生しやすいのに対し)核融合は、原子番号の小さい、軽い元素で起こりやすく、例えば、水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)とが核融合によってヘリウムと中性子に変わり、その時に多量のエネルギーを放出します。
 太陽などの恒星がエネルギーを宇宙空間に放出するメカニズムも核融合になります。
【森北出版デジタル化学辞典第2版「核融合」】
核融合発電もある意味、太陽と関連の深い発電といえます。
 そして、その核融合の商業化のメカニズムとして、1950 年代に確立された、
「トカマク(核融合炉で高温プラズマを磁気で閉じ込める方式。旺文社物理事典)」
が考えられてきましたが、公的研究においては、1990年代にアメリカは核実験を廃止したことにより、トカマクではなく「慣性閉じ込め方式」というレーザーを使用した別方式によって核融合を実現するという考えに基づいており、
そこで誕生したのがNational Ignition Facility(NIF)になります。
 この記事では、核融合発電の慣性閉じ込め方式の商用化は無理ではないかという記載がありますが、風力や太陽光も以前は民間では実現不可能なエネルギーでしたが現在はそれなりに実現できておりますので、民間で核融合発電が応用することも決して無理ではないことと思われます。
また、「核融合」という名称が人々がためらってしまう要因にはなっていると思われます。
 トリチウム発電などの名称にして、イメージをよくすることも核融合発電を推進していく上で必要になってくると思われます。

取り組んでいられる方々からしたら

「実際に自分ではやってもいないのに評論家気取りで口先介入かよw」

と叱られたり、笑われたりしてしまうのでしょうが。。。。。。

百家争鳴、意見はいくらあっても良いじゃないw

存外、世界はエキサイティング!!

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