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今やブーム?のディープテック。
日本で参考になる本を笹渕さんに社の全体会議にて紹介して貰いました。
余りに評判が良かったので、そちらをここで。
彼のペンネームについての苦情は受け付けておりませぬ。
笹渕弐戦時レポート
ディープテック~世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 丸幸弘、尾原和啓
Deep Techは、先端技術を使って課題を解決するものではなく、喫緊の社会課題をテクノロジーで解決することが目的であり、最新の技術が使われることもあれば、枯れた技術が使われることもある。
例えば、世界で最も生産されているパーム油。パーム油を搾り出した搾りカスの多くが放置され、メタンガスを発生させている。
ここで日本が培ってきた技術が生かされ、搾りカスを微細な繊維にし、そこにインドネシアのDeep Techベンチャーが開発した素材を加えることで、鶏の餌に必要な成長促進剤の代わりになる「マンナン」が抽出可能になり、新たな商品へと生まれ変わった。
現在、人口爆発を抱える東南アジアでは、今後、「 外部不経済」を確実に起こすだろう。こうした国では日本のあらゆる技術を応用することによって、 ソーシャルバリディティーの考え方に根ざした企業活動を展開できる余地が残されている、と言う事でもある。
しかし、日本には多くの眠れる技術があるが、多くの日本人は、こうした技術が世界各国で抱えている社会課題を解決するために役立つ、ということに気づいていない。
より重要なのは、すでに成熟した国においてはこうした技術を生かす場が限られており、東南アジアのような エマージングマーケットを対象に、ゼロからビジネスが成立する形で事業を進めていくことの方が可能性を秘めている。
Deep Techの領域では、日本企業が持つ眠れる技術が生かされ、他国にはない優位性を発揮できる可能性を秘めている。
日本は、今のまま同じ土俵で戦っていては世界に勝てない。
日本企業は再浮上できない。
後追いでは追いつくことすらできない。
だからこそ日本企業はDeep Techに今注目すべきだ。
1980年代以降、日本を含めてハイテク産業が隆盛を極めたが、いつしかハイテクを目指すこと自体が目的化し、『ハイテクのためのハイテク』ばかりが生み出される状況となった。ハイテクとローテクを『知』によって新結合し、その集合体をテクノロジーと捉える、と言う概念、そしてそれこそが『Deep Tech』なのである。
アメリカやイギリスは、技術などシーズ発掘を得意とする地域である一方で、人口ボーナス期に突入していく東南アジアは、社会課題を数多く抱えていると言う点で『ニーズ』を発掘できる土壌がある。
東南アジアから近い日本は、ニーズ発掘地域である東南アジアとともに、課題解決のために知識のハブ・集約点になり新たな仕組みを作り出すポテンシャル、優位性がある。
今、日本企業が持つべき視点」
テクノロジーと ディープイシュー、その双方を行き来する。
ゼロから新規事業を立ち上げようとするのではなくディープイシューと自社の強みを照らし合わせることで、何かが生まれてこないかと言う発想をすることで、未来が拓ける。
日本は、日本語と言うローカリズムを武器にして世界と戦ってきた時代がある。
旨味をUMAMIにまでグローバル化させた味の素、カイゼンと言う概念を世界に植えつけたトヨタ、音を持ち歩くと言う概念を作ったソニー。
他の国が持たない感性や概念、いわば東洋思想によって世界と対峙してきた日本だが、いつの間にか西洋的な感覚によるビジネスが浸透し、当然のことながらグローバルで勝てなくなった。
東洋的な考え方、あるいは セレンディピティのように、複雑系の中に何かを見いだすことを、本来日本人は得意としていたはずで、今再び、その感性をビジネスの現場に呼び戻す必要がある。
Deep Techと言うのは、ディープイシューを解決するテクノロジーの集合体に他ならない。
偶然集まった複数のテクノロジーが、その課題を解決する。
その中心にあるのは、東洋的な思想であったり、偶発的なものであったり、長期的な視点であったりする。それらに加え、持続可能と言うキーワードが入っていないと、Deep Techと言う言い方をしてはならない。
お金が全てではなく、知識、データ、スキル、経験、関係性、市場アクセスといった価値や概念が、価値交換の資産となる。
そんなエコシステムが築かれることで、Deep Techと言う運動体は前進していくことになる。
そうでないなら、ハイテクを求めればいいだけ。
1つのテクノロジーでこれだけ儲かる、と言うことに走ればいい。
しかしそういう時代は既に終焉を迎えつつある。
Deep Techと言うキーワードに対して、逃げることなく対峙する時代に突入している。
地球の環境問題は待ったなしだ。
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